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VIVE Focus 3が無重力環境で活躍
国際宇宙ステーションで活躍するVIVE Focus 3
使用事例 | コラボレーション | ヘルスケア
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空を見上げるたびに、人類は宇宙への夢を抱いてきました。技術的にも徐々にこの夢が現実の物になりつつあります。今や仮想現実が宇宙への旅において重要な役割を果たすというのは周知の事実となっています。
HTC VIVEは
XRHealth
と
Nord-Space Aps
と提携し、宇宙飛行士の精神衛生をサポートするためのVRゴーグルセットを国際宇宙ステーション(ISS)に送ることを発表しました。
このVRゴーグルは、デンマークの宇宙飛行士
Andreas Mogensen
氏が、
XRHealth
と
Nord-Space Aps
が開発した精神衛生イニシアティブの一環として利用します。
2023年11月7日、SpaceX CRS-29は
VIVE Focus 3
を含んだ補給ミッションを国際宇宙ステーションに打ち上げます。これは、最新のテクノロジーを活用して宇宙飛行士のミッション中の精神衛生をサポートする取り組みの一環です。
多くの人は 宇宙をしばしば静寂で平穏な空間と想像しますが、現実はそう単純ではありません。宇宙飛行士たちは、時間が勝負を分ける重要な要素である、過酷で寛容のない環境で生き抜く能力を持つ精鋭のプロフェッショナルから選ばれています。 宇宙飛行士は長期ミッション中、数ヶ月にわたり、「自然光」のない騒々しい空間で、機械やスクリーン、電子デバイス等にハムのように挟まれて生活します。プライバシーは限られ、寝る場所は狭く、食事にはフリーズドライ食品とリサイクルされた水が提供されます。宇宙飛行士は、これらの非常にストレスの多い環境で生活し、更にクルーはアラームが鳴った場合に迅速に行動できるように準備していなければならず、常にスケジュールに沿った行動が求められます。 平穏な瞬間、果てしない宇宙の美しさを眺めたり、地球の壮大さを見下ろす瞬間がある一方で、それ以上のストレスを抱えているという事です。
この状況を改善する為に、HTC VIVE、XRHealth、Nord-Space Apsは、VIVE Focus 3で実行可能なバーチャルアシスタンスメンタルヘルスバランスイニシアティブを共同で開発しました。VRベースのセラピーの主要な目標は、宇宙飛行士を孤立から解放することです。 HTC VIVEにとって、VRゴーグルを無重力環境で動作するように設計し、コンテンツを設定することは複雑な課題でしたが、開発チームは宇宙旅行を超える影響を持つユニークな解決策を見つけました。
VIVE Focus 3が無重力環境で活躍
これまで、無重力環境でのVRゴーグルを使用する際に、トラッキングと安定性に複数の課題がありました。地球上のVRゴーグルは、重力ベクトルを方向合わせに利用していますが、宇宙空間にはそれらが存在せず、重力の欠如によってVRゴーグルが不安定になる傾向があります。無重力環境と宇宙船の仕組みが、コンテンツの常時の揺れ、転がり、ドリフトを引き起こし、宇宙飛行士がゴーグル内のコンテンツを読んだり、見たり、制御したりできなくなる原因となります。
HTC VIVEは、このような課題をユニークな解決策で解決することを決意し、VIVE Focus 3ゴーグルを宇宙の無重力環境でも仕様を可能にする設定を施しました。私たちの業界をリードする
ロケーションベース拡張ソフト(LBSS)
を用いて研究を重ねた結果、開発チームはコントローラーをアンカーポイントとして利用する特別なトラッキング方法を開発しました。
実際、この解決策は世界中のアーケードやビジネスで見かけることがあります。地球上ではこれをSimulatorVRモードと呼び、VRローラーコースターや没入型モーションシミュレーション、包括的なフライトトレーニングや高度な運転シミュレーションに使用されています。
SimulatorVRモードでは、VIVE Focus 3コントローラまたはVIVEリストトラッカーを固定し、VRゴーグルに対してすべての移動の基準となる位置を伝えるアンカーとして機能させます。国際宇宙ステーション(ISS)では、この技術が重力の役目を果たし、無重力環境下でも、コンテンツを安定したまま提供できます。
トラッキングと安定性に加え、ボード上での電力の維持もネックでした。当然のことながら、ISSでのリスクを最小限に抑えることは最重要であり、それにはバッテリーも含まれます。バッテリーのバッテリーが一貫し、適切であることを確保するため、HTC VIVEは多くのテストを重ね、ISSの電源をバッテリーとして利用する方法を発見しました。
精神衛生のためのVRコンテンツ
ヨーロッパの山道
四方を囲む高い尖った岩々がそびえるヨーロッパ中心部の険しい山道を旅しましょう。歩くたびに、砂利の音が谷に響き渡り、自然の交響曲を奏でます。新鮮な山の空気を吸い込み、前方に広がる感動的な景色を満喫して下さい。これらの広大で壮大な山々の美しさの前では、誰しもが謙虚にならざるをえません。
イルカとスイミング
水中でイルカ達とともに優雅にスイミングを楽しみましょう。イルカ達はあなたの周りを優雅に泳ぎ回りに移動し、カチッという音やキューという鳴き声を奏でます、あなたの存在に興味を示すイルカ達と共に、水中に響き渡るシンフォニーをお楽しみください。
西海
デンマークの西部の砂丘から、目の前に広がる風景をパノラマで楽しんでください。広大な西海(Vesterhavet)が広がり、その波が岸に打ちつけ、一方では、風に揺れる風車と草原が広がるユトランドを満喫できます。このVR体験に欠けているものが1つあるとすれば、本場デンマークの「Smørrebrød」の味と海風の塩辛い香りです。
湿地帯
草木がそよ風に揺れ、優雅なメロディを奏でる湿地帯の曲がりくねった道を散歩しましょう。流れる水の心地よい音と、さまざまな鳥の種の鳴き声が自然のシンフォニーを生み出します。歩くたびに、花の香りが漂い、その芳醇な花が湿地の感覚的な織りに加わります。足元の柔らかい大地が足にクッションのような抱擁を提供し、夕日が風景を温かく黄金色に浸しています。湿地の静けさと生態多様性は、自然界への深いつながりの感覚をもたらし、忘れられない感動を生み出します。
地上で活躍するVR
宇宙でVIVE Focus 3が使用されるのは初めてですが、既にESAとNASAが地球上で使用しています。最近では、NASAのジョンソン宇宙センターで、現在ISSにいる一部の宇宙飛行士のために、ヒュギンミッションの準備として、AndreasはVIVE Pro 2とVIVEトラッカーを使用して緊急時の宇宙遊泳の訓練を行いました。
宇宙遊泳時には、宇宙飛行士は宇宙服に身を包み、気密室から出てケーブルで宇宙ステーションに接続されます。VIVE Pro 2のVRシミュレーションでは、宇宙飛行士が宇宙ステーションから「投げ出された」状況を想定し、宇宙飛行士が「単純化されたEVA救助システム」(SAFER)と呼ばれる小さなジェットパックを使用して宇宙ステーションに戻る訓練を行えます。
VIVEトラッカーは、訓練シミュレーションを行う際に、宇宙飛行士の手や体の正確なトラッキングを可能にし、再現度の高い訓練を可能にしました。
HTC VIVEは、さまざまな業界でVRの可能性を示し、日々大きな影響を与えています。
これには、VIVE XR EliteをMyndVRとのシニアケアコミュニティに組み込むことや、NYU Langoneで外科医の手術トレーニングへの利用、Benioff Children’s Hospitalで手術後の回復室を設計する際にヘッドセットを使用するなど、さまざまな例があります。
私たち自身の研究開発チームから、Nord-Space Aps、XRHealth、欧州宇宙機関、NASAなど、さまざまなパートナーとの協力を含む、国際宇宙ステーションでのプロジェクトに関わったすべての人々を非常に誇りに思っています。
HTC VIVEはこれからも人類の可能性を発展させる技術開発に取り組んでいきます。HTC VIVEのこのプロジェクトへの取り組みは、革新、決意、パートナーとの協力の力、そして技術がより良い未来を形作るという信念の証となっています。